2023.08.30 2023.09.03

TED要約:CRISPRについて知っておくべきこと

marugotoyoten

ニューヨークを拠点とする分子生物学者であるエレン・D・ヨルゲンセンが「CRISPRについて知っておくべきこと」について語りました。この動画の要点と要約をまとめました

スピーカー

エレン・D・ヨルゲンセン

専門分野:分子生物学と合成生物学
経歴:科学リテラシー向上のために尽力する、バイオテクノロジーのDIY運動のリーダー

３つの要点

要点１
CRISPRはゲノム編集に使われる技術である。
要点２
CRISPRの仕組みは、DNAにダメージを与え、Cas9タンパク質とガイドRNAが働くことでゲノムを編集する。
要点３
CRISPRの力と課題は、細胞の振る舞いや修復経路、長期的な影響についての未知数がある。

要約

CRISPRの理解とその意義
CRISPRはゲノム編集に使われる技術で、絶滅した種の復活や人間の胚の編集、有害な種の排除などについて議論されています。しかし、この技術を規制する仕組みはまだ追いついていません。講演者は、中学生でも理解できるように、CRISPRとその意義を広めるために努力してきました。

CRISPRの仕組み
CRISPRを使ってゲノムを編集するための最初のステップは、DNAにダメージを与えることです。細胞修復プロセスが始まり、Cas9タンパク質とガイドRNAが働きます。Cas9はパックマンのように働き、ガイドRNAはリーシュのように働き、ゲノム内の特定の場所に誘導します。このCas9とガイドRNAの組み合わせは、古代の細菌の免疫システムから借用されたもので、CRISPRと呼ばれています。20文字のガイドRNAでシステムをターゲット化するため、設計は簡単で安価です。

CRISPRの力と課題
Cas9とガイドRNAの複合体はゲノムを移動し、一致する箇所を探します。一致が見つかると、Cas9が切断を引き起こし、細胞内で修復プロセスが始まります。修復経路には2つの方法があります。一つは壊れたDNA片をつなげる方法で、もう一つは同じDNA片を使って損傷を修復する方法です。CRISPRは細胞に変化や新しいDNAを導入するため、細胞の振る舞いや修復経路、長期的な影響についてはまだ多くの未知数があります。

CRISPRの現実
CRISPRは安価で簡単と言われていますが、有意義な研究を行うには専門の研究室が必要です。コストと時間を節約できますが、特許争いが将来的に複雑さとライセンス料の問題を引き起こす可能性があります。また、細胞の振る舞いの理解やシステムの細胞への導入、オフターゲット効果の最小化には課題があります。CRISPRは派手な一面もありますが、病気のモデリングや産業生産、基礎的な遺伝子研究など、科学者によって重要な研究に使われています。社会はこれらの技術について学び、その発展を良い結果に導く責任があります。

▼今回の動画