2023.10.02

TEDx要約:TEDxBoston – Dr Jay Bradner – オープンソース薬剤探索

marugotoyoten

ジェイ・ブラドナーが「TEDxBoston – Dr Jay Bradner – オープンソース薬剤探索」について語りました。この動画の要点と要約をまとめました

スピーカー

ジェイ・ブラドナー

３つの要点

要点１
ゲノム医学の進歩により、がんを引き起こす遺伝的変異についての理解が進んだ。
要点２
標的治療法の開発にはまだ課題が残されている。
要点３
知識の共有と協力により、標的治療法の潜在的な利用範囲が広がった。

要約

ゲノム医学における科学革命の始まり
過去10年間、ボストンではゲノム医学の分野で驚異的な進歩がなされてきました。がんを引き起こす遺伝的変異について、数千の遺伝子が影響を受けることがより良く理解されるようになりました。しかし、これらの変異に対する標的治療薬の開発にはまだまだ道のりが残されています。私にはそれが明確になりました。父が膵臓がんと診断された時、この病気に対する特定の薬剤が存在しないことが分かりました。その理由は、ras、myc、p53などの特定のタンパク質が「薬剤の対象となりにくい」とされているため、薬剤の開発に適したターゲットを見つけることが困難だからです。

標的治療の探求
現在のがん治療の状況に不満を抱き、私は学校に戻り化学を学ぶことを決めました。私の目標は、オープンソースの協力を活用してがん患者のための標的治療法を開発することでした。私は中心線癌という珍しいがんと、BRD4というタンパク質の標的に焦点を当てました。私たちは、このタンパク質の働きを止めることができるJQ1という分子を作り出しました。この化合物で治療されたがん細胞は、通常の細胞のように振る舞い始めました。この興奮するような発見から、私たちはマウスでこの分子を試験しました。

知識の共有と協力
私たちは研究結果を自分たちだけに留めるのではなく、プロトタイプ段階の発見について論文を発表することにしました。私たちはその分子の化学的な特性を共有し、他の研究者に無償で送ることさえ提案しました。このアプローチは競争環境を生み出し、多くの研究所や製薬会社の注目を集めました。これらの協力から得たフィードバックは貴重な示唆を与え、その分子の潜在的な利用範囲を広げました。それは白血病、多発性骨髄腫の治療、さらにはマウスの脂肪肝の予防にも有望な効果を示しました。

薬剤開発の未来
私たちは重要な進展を遂げていますが、まだまだ取り組むべき課題があります。私たちが開発した分子はまだ錠剤の形になっておらず、経口摂取するためにさらなる改良が必要です。私たちは今、他の人々からの助けと洞察を求めており、この分子を前進させ、患者のための薬剤を作り出すことを目指しています。製薬会社とは異なり、私たちは熱意ある個人との協力やプロトタイプの薬剤の世界的な共有を行うための学術センターの柔軟性を持っています。私たちの究極の目標は、がん患者のための標的治療法の開発を加速し、彼らの回復の可能性を向上させることです。

▼今回の動画