2023.08.10 2023.11.23

TED要約:経験と記憶の謎

marugotoyoten

判断と意思決定の心理学、行動経済学における研究で知られるイスラエル系アメリカ人の心理学者兼経済学者であるダニエル・カーネマンが「経験と記憶の謎」について語りました。この動画の要点と要約をまとめました

スピーカー

ダニエル・カーネマン

専門分野:専門領域:判断と意思決定の心理学、行動経済学
経歴プリンストン大学の心理学と公共事務の名誉教授。ヒューリスティックとバイアスから生じる一般的な人間の誤りの認知的基盤をアモス・トヴェルスキーと共に確立し、展望理論を開発した。研究をまとめた『思考の遅さと速さ』は、ベストセラーとなった。

３つの要点

要点１
幸福の複雑な本質を理解することは認知の罠である
要点２
経験する自己と記憶する自己の違いが幸福の追求に影響を与える
要点３
記憶する自己が経験する自己よりも選択に優位性を持つ

要約

幸福の複雑な本質を理解する:認知の罠と経験と記憶の違い
この講演では、幸福という興味深い概念について探求し、認知の罠に焦点を当てています。幸福という言葉は広範な適用のために使われており、多くの人々がその複雑さを理解することに苦労しています。また、経験する幸福と記憶する幸福の混同も問題となっています。さらに、幸福の幻想が幸福の実感を正確に把握することを難しくしています。

2つの自己:幸福を追求する中での経験と記憶の違い
次に、経験する自己と記憶する自己の興味深い違いについて掘り下げます。経験する自己は現在を生き、各瞬間を味わいますが、記憶する自己は私たちの人生の物語を記録し語ります。この違いは、私たちが経験を思い出す方法や経験の終わり方が記憶に与える影響に現れます。実際の経験と記憶の間にはしばしば衝突が生じることもあります。

記憶が私たちの選択を形作る:休暇、痛み、そして経験する自己よりも記憶する自己の優位性
また、記憶する自己が経験する自己よりも優位性を持つことが示されます。これは、休暇や医療手続きなどの選択に影響を与えます。私たちの記憶はこれらの決定に関与し、私たちの時間の一部を代表し、時には私たちを誤導することもあります。例として、医療手続き中の痛みの経験とその痛みの記憶が全体的な印象にどのように影響するかを挙げます。経験の終わり方を思い出す方法が、その経験の物語を決定します。

幸福と満足の測定:幸福の評価とお金と目標の役割を評価する上での課題
最後に、幸福と満足を測定する上での課題について取り上げます。人々が自分の人生をどのように評価するかと実際の幸福の経験との間には低い相関があるため、複雑さが生じます。お金と目標は私たちの満足に重要な役割を果たしますが、日々の幸福の経験と必ずしも一致しないこともあります。幸福の評価は複雑なプロセスであり、経験する自己と記憶する自己の微妙な違いを理解することが重要です。

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